11月7日、京都市内にあります会場にて第11回目の勉強会を開催しました。
3周年目のスタートとなる今回は『多様性について考える ― LGBTの暮らしやすい社会とは ―』をテーマにゲスト講師に「EMA日本」理事長の寺田和弘氏をお迎えしました。
当日、寺田さんには詳細な資料をご用意いただき解説していただきました。

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 我が国でもやっと渋谷区と世田谷区でパートナーシップ証明が導入され、また関西でも宝塚市では同性パートナーシップ証明を検討、奈良市では国際ゲイ&レズビアン旅行協会に加盟と少しずつ各地で前進してはいるものの、同性婚の法制化にまでは至っていません。
では、海外ではどうなのか・・・、すでに44カ国が同性婚・パートナーシップ制度を持ち、北欧以外にもイギリス、フランス、ドイツ、アメリカ、カナダ、メキシコ、オーストラリア、アルゼンチン、イスラエル、南アフリカ・・・など。その中でもデンマークでは1989年にいち早く法制化されているとの事でした。25年以上も前なんですねぇ・・・。
(※ 今年発表された国連人権高等弁務官の性的マイノリティーに関する報告書に、各国は同性婚の法制度を導入すべきとの記載が追加されたそうです。実際に、法整備を未だ行っていないオーストラリア政府に対してもアイスランド、アイルランド、オランダ、スウェーデン、スペインが批判をしています。日本政府も国連の中でLGBTの人権を推進するLGBTコアグループの一員として、法整備化に向けた取り組みをしていかなければならない状況であることを認識すべきです)
世界人口に占める同性婚制度と同姓パートナーシップを持つ国・地域の割合は約17%。
ところがこれを世界GDPの割合でみると、驚くことに約59%なんです。
つまり先進国の多くがこの制度を導入している事が理解できます。また、すでに台湾では国会審議がスタートしているとか・・・。
同性婚、またLGBTについての海外での現状に比べ先進国である日本がここでも遅れをとっている事を知ることができました。

 海外では首相や市長などにも同性パートナーを持つ方も増えている中、2003年に外交官の同性配偶者の日本への入国・居住について「外交関係に関するウイーン条約」の「家計を共にするもの」として実質的に異性配偶者と同様の扱い(法務省・外務省)とするとしました。日本政府は同性婚を認めるという法を作らず今ある制度の中で何とか対応しようとしている事が伺えます。
 また、企業の取り組みについてもご説明いただき、日本でも1000万人弱、人口の7.6%を占めるLGBTの人たちを人材としても、また市場開拓という点からも無視できない状況にあることを知るべきとのご意見には納得しました。

 ただ、海外ではここまで理解もされ法制化まで進んでいる中でも、日本社会ではLGBTへの理解はまだまだ進んでいない現状があります。
資料の中に『身近にLGBTの人がいる?』という質問に対して、「はい(Yes)」と答えた人の割合を示したグラフ。欧州や米国などでは50%を超えているのに対して、日本ではわずか8%です。これは我が国にLGBTの人が少ないわけではなく、13人に1人はいるLGBTの人たちが自分らしくこの社会で生きていけない事実を示している数字でもあるんだと思います。
ちなみにロンドンに住む私の友人は、知り合いにLGBTの人が何人いるのか数えるのも大変だ、と。イギリスではそれだけ日本とは違い社会がオープンであるという事なんでしょうね。つまりは1人1人が自立していて、そして他者を認める事が出来ているという事でもあるんでしょう。それに比べ、我が国では教育の現場でも虐め、自殺など実際に大きな問題が生じていることも踏まえ、知らない、関係ないでは済まされないんだと認識すべきと強く感じました。

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 今回の勉強会では理解する為にまずは知ることからと考えこのテーマに臨みました。参加者の皆さんも大変熱心に耳を傾けられ、午後からのグループディスカッションでは多くの意見や感想などが皆さんからも出ていました。「目からウロコでした」というある参加者の方の一言。今回も多くの示唆を頂きました。

 東京から京都までお越し下さいました寺田さんには懇親会にまでお付き合い頂きました。
あらためて感謝申し上げます。

文責:森田友企子(オイコスの会@京都事務局)